今川義元の“法と秩序”に学ぶ、信頼される組織統治術

imagawa-law-governance-250522 今川義元

「今川仮名目録」ってどんなもの?

法によって秩序を築いた先進的な戦国大名

戦国時代といえば、力が物を言う下剋上の世界というイメージが強いですが、そんな中で“法と秩序”を重視した大名がいました。それが今川義元です。

今川家には『今川仮名目録(いまがわかなもくろく)』という家法が存在しました。これは義元の父・今川氏親の代に制定され、義元によって加筆・整備されたとされる、いわば「武家の憲法」のような存在です。

この法令は、単なる家訓やお題目ではなく、実際に領内統治に活用された“実務的ツール”でした。内容は、犯罪の罰則、家臣の行動規範、農民との関係、商業や市場の規制に至るまで、多岐にわたります。つまり、単に戦って領地を奪うのではなく、“国を治める”という視点を持っていた大名だったのです。

当時の多くの戦国大名が「戦に勝つこと」「敵を滅ぼすこと」を優先していた中で、義元のように“内政と法治”に力を入れた統治者は数少なく、その点で非常にユニークな存在でした。

信賞必罰のシステムで組織に信頼を生んだ

義元は、この法によって家臣たちの間に“公平さ”を浸透させました。ごますりやコネではなく、成果と行動によって評価する──いわゆる「信賞必罰」の仕組みが整っていたのです。

たとえば、ある家臣が無断で農民の土地を奪った場合、仮にその家臣が有力者であっても、仮名目録に従って処分されたと記録にあります。これは“例外をつくらない”ことによって、家臣団全体の信頼を得る仕組みが成立していたことを意味します。

また、仮名目録には「農民に対する不当な搾取は禁止」「寺社の境内を荒らしてはならぬ」などの条項も含まれており、領民の保護にも気を配っていたことがわかります。これは現代でいえば「社員や市民の安心感」に通じるもので、組織の安定にはルールと公正さが不可欠であることを義元は理解していたのです。

つまり、今川家の強さは単に兵力や経済力ではなく、“ルールに基づく安心感”にもあったというわけです。この点は、他の武断派大名には見られない「制度派リーダー」としての義元の真骨頂とも言えるでしょう。

現代にも通じる「組織づくりの本質」

ルールの明文化がもたらす安心と効率

今川義元の仮名目録が今でも注目されるのは、「明文化されたルールが組織を動かす」ことの重要性を、戦国時代に実践していたからです。

ルールがあると人は萎縮する、と思われがちですが、実際には“基準があることで行動しやすくなる”のが現実。曖昧な判断やその場の気分で左右される組織より、明確なガイドラインがある組織の方が、長期的に信頼され、安定します。

これは、現代の企業における「就業規則」や「コンプライアンス指針」にも通じます。義元の仮名目録は、まさにその先駆けだったのです。戦国大名として戦うだけでなく、“仕組みで支えるリーダー”としての一面が光ります。

さらに、こうしたルールは“トップが守る姿勢”を見せることが信頼に繋がります。義元は、自らが法を守る立場であることを示すことで、家臣や民衆からの信頼を勝ち取っていました。

家臣・領民との“約束”を守る姿勢

法度とは単なる命令ではなく、“双方向の約束”とも言えます。義元は家臣に対して「働きに応じて報酬を与える」「無実の者は罰しない」、農民に対しては「生活を守る代わりに年貢を納めてほしい」といった、信頼に基づく契約関係を明文化しました。

このような姿勢は、現代でいえば「心理的安全性の高い組織づくり」や「持続可能な労使関係」に通じます。命令だけでは人は動かない。だからこそ、相互の信頼関係を法で支えるという考え方が、今も昔も有効なのです。

また、領民にとって“自分たちの声が届く仕組み”が存在していたという事実は、今川家の民政の高さを物語っています。こうした「支配ではなく共存」の統治スタイルは、まさに現代的なパブリックマネジメントの先駆けだったとも言えるでしょう。

まとめ|らぼのすけ的「信頼される組織づくり」講座

ルールは「縛る」じゃなく「支える」もの

ぼく「らぼのすけ」📜は、今川義元って実は“戦国のルール設計士”だったんだなって思ったよ。

仮名目録って、ただの命令じゃなくて「みんなが安心して動ける約束」なんだよね。それがあるから家臣も領民も信じてついてきたし、組織がちゃんと機能したんだと思う。

現代でも、会社のルールがしっかりしてると働きやすいし、理不尽なことで怒られたりしないって安心できるよね。義元さまは、それを500年前にやってたってこと!

戦ばかりが目立つ時代に、「治めること」に真剣だった今川義元。実はかなり“先を見ていた”リーダーだったんじゃないかな?

次回は、今川義元の“教養と見た目”に注目した「戦略的ブランディング」のお話へ。実は派手さにも理由があった!?

それではまた、“戦国知恵袋”でお会いしましょう!

タイトルとURLをコピーしました